尋常性白斑とは?
一般的に、皮膚の色は表皮の中に含まれるメラニン顆粒の量に応じて変わります。このメラニン顆粒は、皮膚の一番底にある「メラノサイト」という細胞でつくられるのです。
ところが何らかの原因でこのメラノサイトが壊されることで機能低下を越こすと、メラニンの産生が低下や消えてしまい、皮膚の色が白くなってしまいます。
この状態を「尋常性白斑」言い、別名「しろなまず」と呼ばれます。
日本での患者さんは、人口に対して1~2%程度と言われます。特に20代の発症が多いとされますが、各年代にも広くみられます。発症の男女差はほとんどありません。
尋常性白斑は、脱色素性母斑などと似た皮膚疾患がありますので、まずは皮膚科でしっかりと診断を受けることが治療への第一歩です。
尋常性白斑の原因とは?
尋常性白斑が発症する原因は、現在でもはっきりとは解明されていません。
ですが、自己免疫と言われる自分自身の組織に対し、免疫が攻撃的に作用することにより、メラニン(体表に存在する黒褐色または黒色の色素)が破壊されることで発症するとも考える説などがあります。さらに、先天性と後天性でその原因は異なります。
先天性
・メラニン色素合成遺伝子の変異、欠失等
・メラニンの細胞内輸送分子の異常
・メラノサイト遊走因子遺伝子の変異、欠失等
・メラノサイト幹細胞の異常等
後天性
・自己免疫性:抗メラノサイト交代、メラノサイト障害性T細胞
・疾患感受性遺伝子等
・酸化ストレスなどによるメラニン産生の障害
・薬剤、化学物質によるメラノサイトの障害
・感染症(梅毒)
※社団法人日本皮膚科学会ガイドラインより
尋常性白斑の治療方法
尋常性白斑への一般的な治療方法として、これまでは皮膚科などでステロイドの塗り薬で経過を見ることが主流でした。
ですが、当院では【光線療法】の併用を推奨しており、これによって従来の塗り薬単体での治療よりも効果が見込め、今までの治療法として主流であった紫外線治療に比べ、当院の光線療法は同等、もしくはそれ以上の効果があると考えられます。
光線療法の治療後には、紫外線治療よりも周囲(健常部)との色の差が目立ちにくいなどのメリットもあります。
主に光線療法での反応が良い部分が見られる箇所は、顔、頸部、体幹、四肢などの近位部で、毛穴や白斑の周囲から色素再生が進んでいくことが確認できます。それとは反対に、四肢の遠位部、または大きな白斑では色素再生が起こりにくく、それだけ治療が難しい傾向にあります。